「AI対策」と聞くと、多くの人がまず自分のサイトに手を入れる。構造化データを足し、FAQを並べ、説明文を書き直す。悪い手ではない。ただ、それだけでは届かない場所へ、勝負は移りつつある。
ためしに、ChatGPTやGeminiに「この街でおすすめの〇〇は?」と聞いてみてほしい。その答えが何を根拠にしているかを見ると、たいていは、その店の公式サイトではない。比較記事、口コミサイト、地図、誰かのまとめ。要は「他人が、その店について書いたもの」だ。
ここに、これからのLLMOの芯がある。
トロント大学の調査では、AIが引用する情報のおよそ7割が、自社発ではない第三者のメディアだった。グーグル自身も、生成AI向けの公式ガイドで「やらせの言及をかき集めても効かない」と言い切っている。AIは、本人の自己申告より、外で語られている話を信じる。人と、同じだ。
検索で上に出ているかも、あてにならなくなった。Ahrefsが86万のキーワードを調べたところ、AIの要約が引く情報源のうち、検索1ページ目に入っていたのは4割に満たない。この半年で、76%から38%まで落ちている。「グーグルで上位だからAIにも出る」は、もう前提にできない。
だから、やることが変わる。
これまでのSEOは、自分の陣地、つまりサイトをどう整えるかの戦いだった。これからのLLMOは、その外側が主戦場になる。AIが覗きに行くよその場所で、自分が正しく語られているかを保つ仕事だ。
中身はこうなる。自分の店が載るべき比較記事や地図、業界の情報サイトに、正確な情報が届いているか。古い営業時間や、やってもいないサービスが、どこかに残っていないか。紹介してもらえたとして、それが狙った文脈で語られているか。「夜間もやっている」「子ども連れに優しい」と。
そして、ここがいちばん見落とされる。一度やって終わり、にはならない。
AIは、中身のモデルが新しくなるたびに、引用する相手を大きく入れ替える。ある調査では、たった一度の更新で、引用元のほぼ半分が48時間で差し替わった。きのうまで挙がっていた店が、きょうは消える。検索順位の変動と同じことが、AIの答えの中で起きている。
LLMOは、施工というより、庭の手入れに近い。建てて終わる家ではなく、季節ごとに整え続ける庭だ。
もっとも、この先に「絶対」はない。AIの仕様も各社の方針も、まだ毎月のように変わる。だからこそ、未来を断言する相手より、いま実際に測って見せてくれる相手のほうが、信じるに値する。
これからのLLMOで問われるのは、サイトをどれだけ磨いたかではない。AIが見ている世界の中で、自分が正しく、新しく語られ続けているか。そこだ。手はじめに、自分の店の名前で、AIに一度たずねてみるといい。そこに映る姿が、いまの出発点になる。
凪WORKS/AI来客観測。本文中の数値は記載時点のもので、特定の表示順位・推薦・来客数の増加を約束するものではありません。