「サイトをきちんと直せば、AIの間違った説明も直るはずだ」。当社もそう考えて、仙台市の二つの事業者のサイトを整え、一か月あまり置いて測り直した。結果は三つに割れた。直った誤り。残った誤り。そして、施工前には正しかったのに、新しく間違いになった答えである。
対象は、仙台市の行政書士事務所と調査会社の二件。2026年7月13日に施工前の測定を行い、その後、構造化データ(JSON-LD)の追加、llms.txtの設置、旧URLから新URLへの転送、営業時間を画像でなく文字で書き直す修正といった施工を実施した。8月13日に、同じ質問セット(各10問)を三つの対話型AI(ChatGPT・Claude・Perplexity)へ投げ、答えと根拠を記録した。質問は二種類ある。「近くでおすすめの事務所は」のように名前を出さないものと、事務所名を出して業務や連絡先を尋ねるものだ。施工の前後で同じ質問を使うことで、答えの変化を比べられるようにしてある。
ChatGPTは施工前、行政書士事務所への指名質問6問すべてで、この事務所を答えに挙げなかった。施工後の測定では、ある質問で1番目に挙げた。扱っていない業務(飲食店の営業許可など)を「扱っている」とする誤った説明も、ChatGPTの回答からは消え、所在地と業務の説明がサイトの記載どおりに揃った。
機械側の点検項目も動いた。構造化データが機械に読める形で入っているか、llms.txtが応答するか、営業時間が文字として書かれているか。こうした「サイトの中」の項目は、二件とも施工前より明確に改善した。ここは施工した分だけ確実に積み上がる領域である。
同じ「扱っていない業務」の断定が、ClaudeとPerplexityの回答には残った。出どころは特定できている。業者紹介サイトに登録された古い情報である。この掲載は今回の施工の対象外で、まだ直していない。だから残っているのは想定どおりなのだが、裏を返せばこうなる。サイトをどれだけ整えても、AIが根拠に選んでいる場所が別なら、その部分の答えは変わらない。サイトを直したのにAIだけ古い情報を答え続けた事例と同じ構造である。
いちばん考えさせられたのは、調査会社の行政への届出番号だ。施工前のChatGPTは、正しい番号を答えていた。施工後の測定では、同じ住所に入っている別の事業者の番号を答えた。サイトの構造化データには正しい番号を明記してある。それでもこのAIは、第三者の紹介サイトの掲載を根拠に選んだ。
この一件が示すのは、AIの答えが固定された成績表ではない、ということだ。こちらが何もしなくても、正しかった答えが間違いに置き換わることがある。一度測って安心して終わりにすると、その後の変化には気づけない。
答えを作るとき、AIは公式サイトだけを読むわけではない。紹介サイト、ポータル、士業なら会の名簿。項目が定型で整理された第三者のページは機械にとって扱いやすく、根拠に選ばれやすいことは、当社自身を測ったときにも確認した。サイトの中の整備は、機械可読性の改善として着実に表れる。一方で、回答の中身、とくに業務内容や登録番号のような個別の事実は、サイトの外にある掲載に引っ張られる部分が残る。中と外、二つの層が別々に効いている。
第一層はサイトの中。構造化データ、llms.txt、営業時間や料金を画像でなく文字で書くこと。ここは自分で決められる領域で、施工すれば機械が読める状態は動く。
第二層はサイトの外。AIに自社のことを尋ねるとき「根拠にしたページのURLも示してください」と付け、挙がった第三者のページを棚卸しする。ビジネスプロフィール、スキルマーケット、業界ポータル、会の名簿。それらの記載を公式サイトと突き合わせ、誤った登録をそれぞれの管理画面から直す。サイトを触らずにできる作業で、今回残った誤りも悪化した誤りも、出どころはこの層にあった。自分で測る手順は別の記事に書いている。
断っておく。施工前後とも各一回ずつの測定であり、AIの答えは同じ質問でも揺らぐ。届出番号の悪化が外部掲載のせいなのか、揺らぎの範囲なのかは、この記録だけでは切り分けられない。改善した項目も、施工の効果と断定はできない。施工内容が再クロールで反映された結果と考えているが、因果の証明はないためだ。また、これは三つのAIでの記録であり、他のAIや他の業種では違う結果になりうる。外部の掲載を直しても、AIの答えに反映されるまでには時間がかかり、掲載の最終的な形はその運営者が決める。
施工して終わり、ではなかった。測って、直して、外を直して、また測る。AIの答えは動き続けるので、点検も一度では終わらない。ご相談は、お問い合わせからどうぞ。
凪WORKS/AI来客観測。本文中の測定は、2026年7月13日と8月13日に、当社が仙台市の事業者二件について三つの対話型AIへ同一の質問セットを照会した社内測定の記録です。顧客の特定を避けるため、名称・番号・数値の一部を伏せています。記載は測定時点のものであり、AIの回答と根拠はその後変わっている可能性があります。特定の表示順位・推薦・来客数の増加を約束するものではありません。